そこにすわろうとおもう大橋仁、は完全に生物観察

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そこにすわろうとおもう大橋仁、は完全に生物観察　[美術] [編集]

話題になっている大橋仁という写真家の「そこにすわろうとおもう」は、みなコメントに困ると思います。

タイトルは、そこに椅子があると、意志がなくても座るだろう、というところから来ています。

この写真家は、自分の身内が自殺する現場に居合わせそれを撮影しました。
画面全体に広がる赤い布、それは静櫃な情景に見えるのですが、血だらけの情景でした。

そういう見方になるような写真を撮る人です。
写真芸術というのは、自分が普段見ている目でも見えるはずのものを、ある視点からとって何かの発見をさせるものです。

こういう見方をしてこの素材を撮ったなんてないんじゃないでしょうか。

架空の話で想像するのはいくらできても、現実にありうる光景として考える人間は居ないと思います。

だから自腹にせよ、被写体を募集し無人島を借り切るなんていうのは、考えても「ま、ありえないな」と思うんじゃないでしょうか。

フォーカスから言っても、蟻の巣を観察しているような感覚で、数名がこっそりやっていることをかくし撮りするような背徳的淫猥な気持ちではなくなります。

でも、現実の生活をしている蟻を観測しているのとは違い、通常の生活では普通やらないことをやっている。
これは虫やけだものでできることではなく、人間の集団でないと演じることのできない光景です。

すごいな、としかいいようがありません。